▼ はじめに
毎年、夏になると耳にする「熱中症」。
実は、熱中症とは一つの症状ではなく、高温環境によって体温調節が上手くできなくなり、身体にさまざまな障害が起こる状態の総称です。
スポーツ現場では、
「水分を摂っているのに熱中症になった。」
「スポーツドリンクを飲んでいれば安心?」
「屋内スポーツであれば熱中症にはならない?」
このような疑問を抱えている選手やチーム関係者、保護者の方々は多いのではないでしょうか?
高温多湿の日本の夏では、暑さを示す言葉として以下のような気象予報用語が設定されてます。
- 夏日:最高気温25℃以上
- 真夏日:最高気温30℃以上
- 猛暑日:最高気温35℃以上
- 酷暑日:最高気温40℃以上
このように日常的に暑い日が続くことで、
スポーツ中だけでなく、仕事中や屋外活動、さらには屋内でも熱中症が発症することがあり、小さなお子さんから高齢者まで予防を含めた対策が必要です。
▶︎ 人はどのように体温調節をしている?
私たちの身体は、様々な環境下で約37℃前後に保つように調節されています。
基本的には、
- 汗をかく
- 皮膚の血流を増やす
ことで身体の熱を外側に熱を逃しています。
しかし、
- 気温と湿度が高い
- 水分不足
- 塩分不足
- 疲労
- 睡眠不足
などが重なると、この体温調節機能が十分に働かなくなってしまいます。すると、身体に熱が蓄熱し、熱中症へと進行してしまいます。
▼ 熱中症の分類
以前は、「熱失神(ねつしっしん)」・「熱痙攣(ねつけいれん)」・「熱疲労(ねつひろう)」・「熱射病(ねっしゃびょう)」という4つに分類されていました。
現在では、Ⅰ度・II度・Ⅲ度という重症度分類が用いられています。

重症度は、具体的な治療の必要性の観点から、
- Ⅰ度:現場での応急手当てで対応できる軽症
- Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等度
- Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症
に分類されます。
特に「反応(意識)がない」など意識障害の疑いがある場合は、すべてⅢ度(重症)に分類されますので、絶対に見逃さないことが大切です。
▼ スポーツ現場では、どんな予防をしているの?
スポーツ現場では、具体的にアスレティックトレーナーが現場で行っている熱中症対策には、
- ① 練習前後の体重測定
- ② 尿の色による脱水チェック
- ③ WBGT(暑さ指数)の確認
- ④ 運動強度・休憩時間の調整
- ⑤ こまめな水分・電解質補給
- ⑥ アイスタオルやアイスバスによる冷却
などがあり、暑さに耐える方法ではなく、「暑さに対して管理すること」を重要視しています。
① 練習・試合前後の体重測定
練習・試合前と練習・試合後に体重を測り、差を出すことで失われた水分量をおおよそ出すことができます。


運動によって失われた水分量が体重の2%以上になるとパフォーマンスや集中力が落ちると言われているため、運動後は減った体重の100%〜120%相当の水分と塩分を補給することが望ましいとされます。
【失われた水分量の計算方法】
【①練習前の体重】70.0kg
【②練習後の体重】67.5kg
【③練習中の水分補給料】500ml(0.5kg)
【④練習中の尿量】なし(0ml)
① – ② + ③ – ④ = 2kg
減った水分量の100〜120%を補給すると良いと言われていますので、
2ℓ〜2.4ℓを摂取すれば良いことがわかります。
② 尿の色による脱水チェック
選手たちが使用するお手洗いの壁に貼っておき、セルフチェックを促すことで簡易的に脱水チェックを行うことができます。

③ WBGT(暑さ指数)の確認
WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)とは、湿球黒球温度(しっきゅうこっきゅうおんど)といい、一般的に日本では、 “暑さ指数” と呼ばれています。
熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。
気温と同じ「℃」で表されますが、「湿度」、「輻射熱」、「気温」の3つの尺度から計算されています。
練習場などにWBGT計を設置しておくことで、練習時間や強度を調整する指標とすることができます。


④ こまめな水分・電解質の補給
喉が渇く前にこまめな水分と電解質の補給で、ベストコンディションを維持したいところです。
▶︎ 経口補水液
水分と電解質(塩分)の吸収効率が最も高く設計されています。「飲む点滴液」とも言われます。
すでにある程度の脱水が起きているときや発汗量が非常に多い過酷な環境下での応急・積極的な補給に適しています。

▶︎ スポーツドリンク
水分+塩分に加えて糖分が程度に含まれており、運動中のエネルギー補給と水分・電解質のバランス補給を同時に行えるため、日常的なスポーツ活動時の定番飲料となっています。

⑤ アイスタオルやアイスバスによる冷却


▼ 一般の方ができる熱中症予防
熱中症は、スポーツ選手だけの問題ではありません。
通勤や通学、屋外作業、買い物中など誰にでも起こる可能性があります。
予防のポイントは、
- ① 喉が渇く前に水分補給をする
- ② 汗をかいたら「水分」と「塩分」も補給する
- ③ 朝食を抜かない
- ④ 十分な睡眠を取る
- ⑤ 暑さに身体を慣らす(暑熱順化)
- ⑥ エアコンを適切に使用して温度管理をする
これらのポイントを押さえ、体調をコントロールすることが大切です。
① 喉が渇く前に水分補給をする
特に水分補給について、コーヒーの多量の摂取やエナジードリンクの日常的な摂取は、カフェインや大量の糖分の影響により、運動中や暑い場所での水分補給には向いていません。しっかりと水や麦茶、スポーツドリンクを摂取しましょう!
▶︎ コーヒーやエナジードリンクは暑い場所での水分補給には向いていない。


▶︎ 水分補給は、水や麦茶、スポーツドリンクがおすすめです。


② 汗をかいたら「水分」と「塩分」と「ミネラル」をしっかり補給する
汗をかいた時は、水分と同時に塩分の補給が必須です。そんな時、日本食の代表格でもある「味噌汁」と「梅干し」は非常に有効です。塩分のスムーズな摂取と梅干しに含まれるクエン酸が疲労回復にも作用します。


③ 朝食を抜かない
起床した時、身体は寝汗で水分が減った状態です。朝食を食べることで水分や塩分、エネルギーも補給できるため熱中症を予防できます。時間が無い時はゼリー飲料もおすすめです。


④ 十分な睡眠を取る
睡眠不足は、自律神経の乱れ(体温や血流量、発汗量、血圧、心拍数の調整など)を引き起こし、環境に合わせて身体の体温を下げるシステムを麻痺させてしまいます。結果的に、熱中症のリスクを上げることがわかっています。


⑤ 暑さに身体を慣らす(暑熱順化)
暑さに慣れていないと熱中症のリスクが高まります。暑さに身体を慣らすためには、「適度に汗をかくこと」が大切です。激しい運動は行う必要性はありません。30分程度のウォーキングやランニングを行い、汗をしっかりとかきましょう。すると発汗量や皮膚血流量が増えて身体からスムーズに熱を逃すことができます。


⑥ エアコンを適度に使用して温度管理をする
猛暑日や酷暑日のように高温な日が続く現在では、積極的なエアコンの使用が推奨されます。


▼ 熱中症後の身体のケアも大切です。
熱中症から回復した後も、
- 全身の疲労感
- 筋肉の張り感
- コンディション不良
- 食欲低下
- 倦怠感
が続くことがあります。身体が回復していない状態で無理に運動を再開すると再発やケガのリスクも高まります。
十分な休養と栄養補給を行い、運動への復帰は段階的に進めましょう!
J・アスリートケアでは、「トップアスリートのボディケアをあなたにも。」をコンセプトにスポーツを楽しむ方から地域の皆さままで、一人ひとりの健康づくりやコンディショニングをサポートしています。
暑い季節は、熱中症を予防することもコンディショニングの一つです。
毎日の体調管理を大切にし、安全で快適な生活やスポーツ活動を続けていきましょう!







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